母方の祖父の残した遺品は、そのほとんどがお金にならないものでした。
体を不自由していて、ベッドの上に横たわって生活していた祖父ですので、我々に残すような物は何も持たなかったのです。
しかし、ありがたいことに家と土地だけは残してくれたので、祖父が死去した後、家族で遺品整理として片づけをすることになりました。
衣類や布団類は全て袋にまとめて、葬儀業者の「お焚き上げ」サービスに任せました。
それでも、捨てられない写真や記念品などは残ってしまうもの。
それは、まだ捨てられずに、その家の押入れの一角にしまいこんであります。
問題は、古い家具類でした。
特に、タンスが三棹残っていて、それはどうやって家の中に入れたのか分かりませんが、どのようにしても外へ運び出せない大きさでした。
タンスの回収処分を行ってくれる業者を探せばいい、と安直に考えていましたが、家の外へ運び出せない大きさなのですから、家の中で小さくするより外ありません。
後の掃除が大変であることは重々承知して、父の提案で、のこぎりを使ってタンスをゴミ捨て場で処分できるほど小さく切り分けることにしました。
その作業は、丸一日がかり。
まず、家の玄関から出せる大きさに切って、外の庭に並べました。
家の中は、木屑でむせかえるようになりました。
それから、庭でじっくりとゴミ捨て場に出せる大きさに切っていき、その作業が終わった頃には日が暮れかかっていました・・・。
三棹ですから、大変な作業だったことを覚えています。
タンスは、あまり大きな物を持つと、始末する時が大変だということが分かりました。