数年前に、夫方の義理・祖父母が立て続けに亡くなった際の経験談です。祖父母は田舎に住んで晩年の年金生活を楽しんでいたのですが、家には大量の遺品が残され、夫の両親がその整理に取り組みました。
こまごまとした生活用品や家電などは、近所の人や親戚の人に必要に応じて譲り、どうにも使えないものは少しずつごみに出しました。困ったのは、義祖父が戦後の時期に購入したとおぼしき、大型の農耕器具です。今では使っている人もいないであろう、前時代的な器具が物置の奥から出てきたのですが、どう見ても馬や牛などに取り付けるような代物です。これは地元の博物館に寄付するか、断られれば有料の粗大ごみ回収業者に来てもらうしかない…と思ったそうです。葬儀が重なった上に今度は粗大ごみの回収費用がかかるのか、と義両親は落ち込みました。
ですが運よく義父が「ちょっと待て、ダメ元でネットのオークションサイトに出品してみよう」と思い立ちました。するとすぐに欲しいという人が現れ、あれよあれよという間にその人のトラックが到着し、数万円と笑顔とともに、引き取っていってくれたのだそうです。その購入者いわく、コレクターの間ではなかなかの逸品だったそうです。義父母はインターネットの底力を実感して震撼し、近年では自分たちの不用品も、こつこつとフリマアプリで趣味がてら販売しています。