子供のいない叔父夫婦の遺品整理

私の父方の叔父夫婦には子供がいませんでした。

叔父たちは元気な時は大変きちんとしていたのですが、最後のほうは認知症気味で、物の整理が追い付いていない状況だったようです。

叔母に続いて叔父も亡くなり、空き家となった家を父母と私と弟で片づけることになりました。

そして、遺品整理の日。

まずは明らかなゴミを集め、そのあと、使えそうなものを見つけ出しました。贈答品や時計が一つ二つなどです。でも、使えそうなものはそれだけでした。リサイクル業者に出すほどの量もありません。

服や日用品、趣味の物、アルバム類、すべてはゴミとなりました。

私は様々な紙類を整理していたのですが、手紙やハガキがたくさん出てきました。読む気はなかったのですが、文字がなんとなく目に入ってきてしまいます。手紙というのは個人のプライバシーそのものです。それが、それほど関係の濃くない私の目にとまってしまっていることが、とても悲しいことのように感じました。自分だったら見られたくないと思いました。

叔父が戦時中にシベリアにいた時のことを書いた自分史のような原稿用紙などもありましたが、それも結局は捨てることになりました。その人にとっては大事な歴史も他の人にとってはゴミとなってしまうのです。

人が死ぬと、こういうことが起こってしまう可能性があるんだということを、実感として感じた初めての出来事でした。

今は断捨離ブームです。老前整理などという言葉もよく聞きます。

子供がいる人の場合は大体は子供が遺品整理、片付けをすることになりますが、子供にも見られたくない、自分の中だけにとどめておきたいものもあるでしょう。子供の有無にかかわらず、自分の物の後始末は先送りせず、とにかく始めることが肝心だと思います。

この遺品整理をきっかけに、体も頭もしっかり動く40代、50代のうちに自分の身の回りの物を断捨離し、本当に必要なものを大事にすることが重要だと心から実感しています。